「コーパス日本語学の創成」研究発表会

プロジェクト名
コーパス日本語学の創成 (略称 : コーパス日本語学)
(語彙・文法・文体・歴史グループ)
リーダー名
前川喜久雄 (国立国語研究所 言語資源研究系 系長,教授)
開催期日
平成23年9月3日 (土) 14:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 3階 セミナー室

発表概要

「助動詞「です」をともなう形容詞述語文について : BCCWJの予備的分析」前川 喜久雄 (国立国語研究所 言語資源研究系 教授)

現代日本語の規範的・標準的な記述文法では,形容詞に助動詞「です」の終止形 (いわゆる断定詞) が後続して終わる文末は,非文法的とまではいえなくても規範性に欠けるものとされている。しかし現実の用例をみるとこの種の形容詞文が頻繁に用いられていることはよく知られているとおりである。今回の発表では,この問題についての準備的分析として,今般完成した『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を用いてこの種の形容詞述語文が生起する条件を探った結果を報告する。

「共起語集合の頻度分布と語の属性との相関」山崎誠 (国立国語研究所 言語資源研究係 准教授)

ある語の前後に共起する語の集合の持つ統計的属性と所与の語との関係を探る。共起語の度数分布のタイプ,品詞・語種の構成比,意味カテゴリなどを手がかりにして,語の分類や識別の可能性について検討する。

「コーパスをめぐる2,3の報告 ─作家の表現の比較ほか─」田野村 忠温 (大阪大学 教授)

電子テキストの利用の (私にとって) 新しい試みとして,有名作家の表現の初歩的な比較を行ってみた。その話題を中心とし,コロケーションや現代語の通時変化について最近考えたり調べたりしたことについても報告する。