「複文構文の意味の研究」研究発表会

プロジェクト名
複文構文の意味の研究 (略称 : 複文構文)
リーダー名
益岡 隆志 (神戸市外国語大学 教授 / 国立国語研究所 理論構造研究系 客員教授)
開催期日
平成23年5月7日 (土) 13:30~17:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室

発表概要

「日本語教育のための複文研究 ―受身・使役・「ている」と複文―」前田 直子 (学習院大学)

日本語教育における文法 (文型) 指導では,新しい文法項目の学習と,単文から複文へと文を拡大させていくことは,相互に関連し,連動すると考えられる。本発表では,3つの初級の文法項目 (受身・使役・「ている」) が単文・複文の中にどのように現れているかを,シナリオをデータに分析する。またその結果を日本語教材の例文と比較し,これらの文法項目が持つ新たな特性を探るとともに,日本語教育への応用についても考察を試みる。

「言語習得過程から見た日本語の名詞修飾節」大関 浩美 (麗澤大学)

本発表では,日本語を母語とする子どもの習得過程から,日本語の名詞修飾節の構造を考える。子どもの発話データの分析からは,①様々な文法役割の修飾節が習得初期から使われる,②被修飾名詞の属性や状態を表す修飾節から使われる,③有生の被修飾名詞が少ない等,英語の関係節を対象とした研究とは大きく異なる結果が得られた。なぜこのような習得過程の違いが見られるのかを考えながら,日本語の名詞修飾節について議論したい。

「日中連体修飾節の相違について」楊 凱栄 (東京大学)

本発表は主として日中両言語の連体修飾節における相違並びにその相違を生じる要因について考察する。考察を通じて,まず日本語は中国語に比べて連体修飾節を多用する傾向があることを確認する。同時に,この種の相違が生じる原因は,人称代名詞のもつ性質以外にも,主に日中両言語の主語,時制,視点,名詞化,定 / 不定,及びモダリティなどの違いによるものであると考えられる。