「コーパス日本語学の創成」研究発表会

プロジェクト名
コーパス日本語学の創成 (略称 : コーパス日本語学)
リーダー名
前川 喜久雄 (国立国語研究所 言語資源研究系 系長,教授)
開催期日
平成22年12月19日 (日) 14:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 3階 セミナー室

発表概要

「複合助詞の語形と品詞性」杉本 武 (筑波大学 教授)

複合助詞には,「ために」と「ため」,「対して」と「対し」,「による」と「によっての」のように,語形の「ゆれ」が見られるものがある。「現代日本語書き言葉均衡コーパス」の用例をもとに,ゆれる語形には複合助詞やその用法の違いによる偏りがあり,このような「ゆれ」が単なる「ゆれ」ではなく,複合助詞の品詞性の違いによるものであることを示す。

「動詞の格情報 ―国語辞書の記述とコーパス―」丸山 直子 (東京女子大学 教授)

動詞の格情報 (特に多重性を持つもの) について,国語辞書の記述と,コーパスの実態を照らし合わせ,よりよい国語辞書の記述法を探っている。複数の格助詞を取り得るもの (「試合に / で勝つ」) ,同じ格助詞だが前に来る名詞の種類によって語義が異なるもの (「型に / 池に / ゲームにはまる」) 等の考察を行ってきた。「役割のニ格」 (「秘書に雇う」のようなもの) のように,動詞と密接に関わらない成分 (「お礼に歌を歌う」) との関わりが問題になるものもある。いくつかの項目について話をする予定である。