「日本語レキシコンの文法的・意味的・形態的特性」研究発表会

プロジェクト名
日本語レキシコンの文法的・意味的・形態的特性 (略称 : 日本語レキシコン)
リーダー名
影山 太郎 (国語研究所長)
開催期日
平成22年9月5日 (日) 13:00~17:00
開催場所
大阪大学 言語文化研究科 豊中キャンパス (〒560-0043 豊中市待兼山町1-8)

発表概要

「語レベルの言語処理に関わる心的・脳内メカニズム」伊藤 たかね (東京大学) ,杉岡 洋子 (慶応義塾大学)

複数の形態素から成る語には,語全体でレキシコンに記憶されているものと,形態素から構成的に作り上げられるものとが存在するという仮説を,心理・神経言語学的実験によって実証することをめざして,筆者らを含む研究グループのこれまでの成果を中心に先行研究を紹介し,今後の研究課題を整理する。

「状態述語のアスペクト ―北奥方言から標準語へ―」加藤重広 (北海道大学)

標準語では許可されない形容詞と形容動詞のテイル形を持つ北奥方言について,その意味特性が「持続が喪失される見込みにおける一時性」であることを指摘し,それが標準語の可能動詞のテイル形と共通する特性があること,また,名詞述語文のテイル形が標準語でも見られること,北奥方言ではその制約が弱いことを合わせて示し,意味と形態の対応関係を整理する。

「日本語と中国語の属性叙述に関する構文について」澤田 浩子 (筑波大学)

属性叙述に関わる複数の構文の間で属性叙述のあり方はどのように異なるのか,また,日本語の構文に見られる属性叙述の下位分類が,他言語 (中国語) にも存在するのかという視点で,構文の記述研究を行う。

「コリャーク語の属性叙述形式とその特異な統語操作」呉人 惠 (富山大学)

主として日本語研究から発信された「属性叙述」という叙述機能が,コリャーク語では,形態的にも統語的にも明確な形として顕現することを論証することにより,叙述類型論が今後より積極的かつ通言語的に展開されうる可能性を持つことを指摘する。