「日本語レキシコンの音韻特性」,「消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究」 研究発表会

プロジェクト名,リーダー名
日本語レキシコンの音韻特性 (略称 : 語彙の音韻特性)
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・構造研究系)
消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究 (略称 : 危機方言)
木部 暢子 (国立国語研究所 時空間変異研究系)
開催期日
平成22年8月1日 (日) 10:00~15:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室

発表概要

「母音の甲乙が確認される現代方言の報告 (1) ~八丈島方言~」高山 林太郎 (東京大学大学院 言語学専門分野 博士課程1年)

八丈島方言に8つの母音音素 /i, I, E, e, a, o, U, u/ が存在することを,狭義ミニマルペア調査・広義ミニマルペア調査・フォルマント解析・平均値の差の検定などで示し,上代特殊仮名遣におけるイ列甲類・イ列乙類・エ列甲類・エ列乙類・ア列・オ列乙類・オ列甲類・ウ列の書き分けと比較する。

「石川県白峰の複合動詞アクセントと諸方言のタイプ」新田哲夫 (金沢大学)

石川県白峰方言は「言語島」であり,京都を中心とするかつての中央語の古い特徴を多く保存している。特に複合動詞 (V+V) は,アクセントが主に2単位のかたちで現れる。これは『類聚名義抄』の声点から推定される古代のアクセントと類似しており,古い時代の特徴を保っているものとみなされる。本発表では,これら2単位形の共時的な姿と,一部でみられる1単位形への芽生えを報告する。また,白峰以外の諸方言では,複合動詞アクセントは,ほとんどの場合,1単位形で現れるが,その複合規則は様々である。こうしたタイプの異なる諸方言の複合動詞アクセントに関して,1単位化の多様な様相を分類する方法と基準の設定を試みる。