国立国語研究所年

国立国語研究所オープンハウス2020

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発表

国語研究所の紹介──生きた日本語と格闘する 日本語研究70年

★:videos with English subtitles
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出演者田窪行則
What is the NINJAL? / Yukinori Takubo
概要国語研は1948年に国民生活のための国語政策の基礎データを集め科学的に研究する機関として生まれた。その使命は実際の生きた言語データにもとづいた経験科学的なアプローチを採用し,その成果によって我々の言語生活が豊かになるようにすることであった。国語研は,日本における社会言語学的な研究,さまざまな機器を用いた実験科学的な研究,実地調査に基づくフィールドワーク的研究,統計数理研究所との共同研究による統計サンプリング調査による研究を始めて行い,これまで牽引してきた。
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出演者山崎誠
Taking a scientific approach / Makoto Yamazaki
概要国立国語研究所は創設当初から話し言葉,書き言葉の両面にわたり,データに基づく実証的な調査研究を行ってきた。書き言葉では生活に密着した雑誌等の語彙や表記を調べる大規模な語彙調査,話し言葉では日常生活における談話を対象とした文法調査などである。いずれも私たちの言語生活のすがたをありのままにとらえようとする研究である。また,実験器具を用いた研究としては,X線により口の中の舌の動きを撮影した実験がある。このような様々な工夫を行い,言語の科学的なアプローチを進めてきた。
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出演者横山詔一
Longitudinal language surveys / Shoichi Yokoyama
概要国立国語研究所は,ランダムサンプリング法を用いた言語変化研究を世界に先駆けて1950年にスタートさせ,現在に至るまで研究を継続している。具体的には,山形県鶴岡市における共通語化研究(鶴岡調査)を1950年から約20年間隔で2011年まで4回実施した。また,愛知県岡崎市では敬語研究(岡崎調査)を1953年から数十年間隔で3回おこなった。ここでは,それらの調査結果の一部を紹介し,言語変化のS字カーブ仮説などについて解説する。
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出演者大西拓一郎
Making linguistic maps / Takuichiro Onishi
概要言語地図は方言の分布を表す。各地で使われていることばを調査し,それを記号に置き換えて地図に示している。たとえば「とうもろこし」のことをモロコシと言うのは長野県,山梨県と岩手県の一部であることが地図から読み取れる。また,時代を隔てた地図を較べると,ことばの変化もとらえられる。「~しなかった」を表す~ンカッタは,新潟県で古くから使われてきたが,近畿地方での使用は比較的最近であることがわかる。場所によることばの違いである方言を地図に表すことで,ことばの広がりと変化がわかるのである。
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出演者野山広
From the perspective of Japanese language education / Hiroshi Noyama
概要ここでは,日本語教育研究に関連して「簡約日本語」「日本語教育指導参考書,教師用養成テキスト,学習者向けの教材,視聴覚教材」「『外来語』や『病院の言葉』の言い換え提案」等に触れる。「簡約日本語」の発想は現代の「やさしい日本語」の理念へと繋がっている。参考書,テキスト,視聴覚教材等は当時の日本語教育の水先案内役を国内外で大いに果たしており,言い換え提案は,分かりにくい言葉(例えば「アカウンタビリティ」「寛解」「誤嚥」など)を取り上げ,分かりやすく伝える役割を果たしてきたと言えよう。
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出演者窪薗晴夫
Diversity within the Japanese language / Haruo Kubozono
概要他の言語と比較したときに浮かび出る日本語の特徴の一つが,その多様性である。明治維新以降,全国に通じることば(標準語,共通語)を作ろうとする運動の中で,その多様性が大きく変容し,地方のことばが衰退してきた。とは言え,多様性が完全に失われたわけではない。残された多様性を記録し守っていくことが日本語の将来にとって重要な課題であり,それが国語研のミッションでもある。
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出演者木部暢子
Dialects as endangered languages / Nobuko Kibe
概要2009年にユネスコは,消滅の危機に瀕した世界の言語約2,500のリストを公開した。日本にも消滅が危惧される言語がたくさんある。ほとんどの方言も消滅言語である。日本から言語の多様性が失われるということは,日本の文化の多様性も失われるということを意味する。多様性を守るために,国語研では方言を調査してデータを残しておく活動と,地域の子どもたちに方言を伝える活動を行っている。ここでは,宮崎県椎葉村と共同で5年前から行っている『椎葉村方言語彙集』の作成の例と,標準語から日本語諸方言を検索することができる『日本語諸方言コーパス』の構築の例を紹介する。
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出演者前川喜久雄
What is a corpus? / Kikuo Maekawa
概要コーパスとは何かを説明し,実際にどのように使われるかの例として,「日本」が「ニホン」と発音されるか「ニッポン」と発音されているかを『日本語話し言葉コーパス』を利用して検索した結果に触れる。
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出演者小木曽智信
Historical corpora / Toshinobu Ogiso
概要国語研では,日本語の歴史を研究するためのコーパスを構築している。奈良時代に成立した『万葉集』から明治・大正時代の雑誌や国語教科書まで,すべての時代にわたって重要な資料を集め,すべての文章中の単語に読みや品詞などの情報を付与したものである。この『日本語歴史コーパス』を使った研究例として,明治時代の国語教科書に現れる表現をとりあげ,形容詞や動詞の丁寧形がどのように変化してきているのかについてデータにもとづいて述べる。
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出演者小磯花絵
Corpus of everyday conversation / Hanae Koiso
概要日常場面で用いられることばの特徴を現在構築中の『日本語日常会話コーパス』や,その他の書き言葉・話し言葉のコーパスを活用して描き出す。副詞 の「やはり/やっぱり/やっぱし/やっぱ」,日常会話では書き言葉と比べてどの語形をよく用いているのか?話者の年齢によりその使用はどのように異なるのか?「ありがとう」ではなく丁寧に「ありがとうございます」と発話したりぞんざいに「あざっす」と発話したりするのは,どのような相手に対してなのか? コーパスを用いて調べてみよう。
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出演者石黒圭
Corpus of learners of Japanese / Kei Ishiguro
概要「国語」研の「日本語」教育研究はどのようなものだろうか。国語研の日本語教育研究は日本語学の研究所らしく,日本語を学んでいる学習者の使う日本語に光を当てている点に特色がある。とくに,学習者が話したり書いたりした日本語を大規模に収集した「学習者コーパス」を用い,日本語の形態面から学習者の言語運用の実態を詳細に記述・分析することに強みを発揮する。このビデオでは,I-JASという学習者の会話コーパスに見られる副詞に着目し,学習者が「もちろん」を好み,母語話者が「やっぱり」を好む実態を明らかにする。
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出演者プラシャント・パルデシ,長崎郁
Corpus parsed for syntax and semantics / Prashant Pardeshi & Iku Nagasaki
概要統語意味解析コーパス(NPCMJ)は現代日本語の文法構造の研究のために開発されている言語資源であり,テキストを構成するそれぞれの文における主語,目的語,述語といった情報や,その文が名詞修飾表現(「子どもが見ている写真」「子どもが泳いでいる写真」)を含んでいるか,受動表現(「彼は先生に褒められた」「彼は雨に降られてずぶ濡れになった」)であるかといった情報が付与されている。2020年3月現在,約4万文のデータを公開しており,誰でもオンライン上で無償で利用することができる(http://npcmj.ninjal.ac.jp/)。
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出演者田窪行則
Prospects for Japanese language research / Yukinori Takubo
概要現在,日本語は国際化がすすみ,日本語母語話者だけのものでなく,第二言語,第三言語として,日本内外の外国人も話すことばになっている。また,日本語を非常に深く研究する外国人も増え,その成果から我々は多くを学んでいる。我々は,これらの外国人の研究者とともに日本語を深く・広く研究し,その成果を世界中に発信していく必要がある。
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