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「日本語非母語話者の聴解コーパス」の概要

「日本語非母語話者の聴解コーパス」は,日本語非母語話者に日本語で話されたことを聞いてもらいながら,その理解過程を母語か母語に準じる言語で話してもらい,それを文字化し,日本語訳をつけたものです。

調査の方法

読解コーパス作成風景

日本語非母語話者である協力者に日本語で話されたことを聞いてもらいます。それと同時に理解過程を母語あるいは母語に準じる言語で少しずつ話してもらいます。

データ収集者は協力者の発話を聞き,その発話だけではどのような意味に理解したかがよくわからないときや,言及されなかった点を確認するために,協力者に質問をし,答えてもらいます。

データ収集者が協力者の話す言語を十分に運用できない場合は,通訳者に参加してもらいます。

このコーパスの特徴

(1)理解のコーパスである

このコーパスは聞きながら同時にどのように理解しているかという理解過程の記録を目的とした「理解」のコーパスです。従来から作成されてきた会話コーパスや作文コーパスのように,話したことや書いたことの記録を目的とした「産出」のコーパスとは性質を異にします。

(2)協力者が聞きたいものや聞く必要のある素材を聞いてもらった記録である

協力者に聞きたいものや聞く必要のあるものを選んでもらい,それを聞いてもらった記録です。聞いてもらうものは協力者に選んでもらったものであって,データ収集者によって与えられたものではありません。非母語話者向けに作られた日本語学習用教材は含まれていません。

聞く素材はたとえば次のようなものです。

  • ・飲食店や小売店などのスタッフに言われること,交通機関や施設などの案内放送,講義や講演
  • ・初対面の人や友人との雑談,先生との論文についての相談,サークル活動の打ち合わせ

(3)理解した内容を話してもらうだけではなく,質問にも答えてもらった記録である

協力者に理解した内容を話してもらうだけではなく,データ収集者からの質問にも答えてもらった記録です。協力者の発話だけではどのような意味に理解したかがよくわからないときや,協力者が言及しなかった点があるとき,それを確認するために協力者に質問をし,答えてもらいました。

(4)理解した内容だけではなく,どのように聞いているかを話してもらった記録である

聞きながら理解した内容だけではなく,頭の中でどのようなことを考えながら聞いているかを,協力者に詳しく話してもらった記録です。たとえば,話の流れやジェスチャーを手がかりにして聞いた内容をどのように推測したかや,既に聞いた部分の意味の解釈が聞き進めるにつれてどのように変わっていったかについても話してもらいました。

(5)日本語ではなく,協力者の母語で理解過程を話してもらった記録である

協力者が十分に日本語を運用できても,日本語ではなく,母語か母語に準じる言語で理解過程を話してもらった記録です。母語で話してもらうのは,日本語で話すと,意味がわからなくても聞いたままの日本語を繰り返すことがあり、その場合は意味を理解しているかどうかが確認できないからです。

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