「日本語国際センサスの実施と行動計量学的研究」



研究目的
国際化が進む中で,日本語が世界の各国に普及しはじめ,学習者の数も100万人あるいは200万人に及ぶともいわれる。この傾向は国際化が進む限り今後も決して変わることはないであろう。しかし,学習者の増大とともに,各国における日本語使用の実態や日本語学習そのものに関しても,すでに様々な問題が提起されてきている。それら諸問題を解決する手がかりとして,現在,もっとも必要とされているのは,世界の各国および日本国内の国際化した交流場面における日本語の実態を 客観的な情報として把握することである。なぜ日本語が必要なのか,なにゆえに日本語を選ぶのか,日本語を学び,使う上で何が問題点となっているのかなど,言語の様態を科学的に押さえた上での実態調査が必要である。

日本語観国際センサスで取り上げる調査項目の主なものは,各国における日本語に対する意識(使用意識,目的,学習動機,難易度,好き嫌い等の日本語イメージ,日本語によるコミュニケーション上の感情的摩擦の有無など),日本語普及状況,日本人の言語行動の特性等に関するものである。また同時に,日本や日本人に関する項目,英語や外国語に関する項目,母語や自国に関する項目等も調査する。調査方法は,個別面接法またはアンケート法による。この調査と並行して,日本語使用人口,日本語における新聞・報道等のマスメディア数と普及率,日本語学習者数などの統計資料も収集する予定である。

国内調査では,留学生・技術研修生・就学生その他の在日外国人や日本人(帰国子女を含む)を対象とした言語環境調査を実施し,幅広く情報を収集・分析する。

なお,ここで得られた知見は,言語研究の世界だけではなく,他の人文科学及び社会科学の発展にも寄与するところが大きいと考えられる。




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