コラム - 韓国語の擬態語と日本語の擬態語の比較 -
陽母音・陰母音
「ハングル」とは韓国語の文字の名称で,15世紀の朝鮮王朝時代に作られました。文字の基本となるのは,母音10個,子音14個ですが,さらにこれらの組み合わせで生まれたものまで含めると,全部で40個(母音21個,子音19個)になります。
韓国語の母音は東洋哲学の天地陰陽説に基づいて,「天・地・人」の3つが基本となっています。すなわち,丸い天を「・」に,平らな地は「」に,立つ人は「」をかたどって作られました。例えば,立つ人「」の右側に,天「・」を付ければ「[a]」という母音になり,平らな地「」に,天「・」を付けると「[u]」という母音になります。
この母音の中には,「陽母音」と「陰母音」が存在します。陽母音の「[a]」と「[o]」は,概ね「小さい,明るい,軽い」という好感の持てる印象を与えるのに対し,陰母音の「[]」と「[u]」は,「大きい,暗い,重い」という印象を与えます。例えば,子供が「げらげら」笑っている場面では,陽母音「カルカル()」が用いられ,大人の男性が「げらげら」笑っている場面では,陰母音「コルコル()」が用いられます。また,夜空に輝くきれいな星には,陽母音を含む「バンチャク()」が,犯人が持っているナイフが放つ鋭い光には,陰母音を含む「ボンチョク()」が用いられます。日本語の擬態語では,前者が「きらきら」,後者が「きらりと」になります。