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コラム - 韓国語の擬態語と日本語の擬態語の比較 -

平音・濃音・激音

 韓国語には14個の子音がありますが,この子音の一部には「平音・濃音・激音」の区別があり,この順にそって語調が強くなるのが特徴です。発音する際に息を伴わない「無気音」は「平音」と「濃音」ですが,反対に息を強く伴う「有気音」は「激音」です。

無気音 有気音
 平音   濃音   激音 
/ga/ /ka/ /k’a/
/da/ /ta/ /t’a/
/ba/ /pa/ /p’a/
/sa/    
/ja/ /cha/ /ch’a/

 この「平音・濃音・激音」の区別は,韓国語非母語話者にとって非常に難しいと言われています。特に日本語では「濃音」に関しては日本語で表記ができないため,日本人が「激音」と「濃音」を上手に聞き分けることは難しいようです。例えば「平音」の「dal()」は「月」という意味ですが,「濃音」の「t’al()」になると「娘」に,また「激音」の「tal()」は「仮面」という意味になります。表記で示すと違いはわかりますが,非母語話者の耳には同じように聞こえるようです。

 それでは「平音・濃音・激音」という音の特徴が擬音語・擬態語の中ではどのように影響してくるかについてみることにします。例えば,お菓子などを噛む時の「さくさく」という音を「平音」で表すと「basak basak()」になります。この「basak basak()」という音から,韓国人はその語感として,まるで焼きたてのおいしいお菓子を噛んでいるようなイメージを受けます。そして,これを「濃音」で表すと「p’asak p’asak()」になり,「平音」と同じくさくさく感が伝わってくるのですが,ただ「濃音」のほうがもっと噛む音を強調しているように感じられます。ところが,これが「激音」になると「pasak pasak()」になり,今までおいしかったお菓子のイメージが逆転します。なぜなら「pasak pasak()」は,そのお菓子を食べるとすぐに水が飲みたくなるほど口の中が乾いた状態を表すからです。