「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

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50.セカンドオピニオン 〔別の医師の意見〕  second opinion

(類型C)重要で新しい概念の普及を図る

[関連] インフォームドコンセント(類型C)

 「主治医にお任せ」ではなく,別の専門家の意見を積極的に聞き,治療法は自分で納得して決めることが大切であることを,理解してもらいましょう。


まずこれだけは

別の医師の意見
主治医以外の医師に意見を聞くこと
第二診断

少し詳しく

 「今かかっている病気や,その治療法について理解を深め十分に納得するため,他の病院の専門医の意見を聞いて参考にすることです。治療を受けるかどうかを判断するための患者側の一つの手段です」

時間をかけてじっくりと

 「現在かかっている医師とは別の医師の意見のことです。具体的には『勧められた手術が妥当なものか,ほかに治療法がないか』など,診断や治療方針について主治医以外のほかの病院の医師の意見を参考にして判断することです。したがって,セカンドオピニオンを聞きたいときは,主治医にはっきりと申し出なければなりません」

概念の普及のための言葉遣い
  1. 「セカンドオピニオン」は,語形は長いものの,「セカンド」「オピニオン」はそれぞれさほど難しい外来語ではない。重要な新概念を表す語として,「セカンドオピニオン」という言葉を積極的に普及させたい。しかし,現段階ではこの語を知らない人や意味を理解していない人も少なくないので(認知率80.8%,理解率71.5%),「セカンドオピニオン」という言葉とともに,[まずこれだけは]に示した分かりやすい言い換え表現をいつも添えるようにしたい。
  2. 言い換え表現のうち「別の医師の意見」は端的で最も分かりやすい。セカンドオピニオンが,意見(診断)そのものだけでなく,意見を聞き診断を受けることであることを表したい場合は,「別の医師の意見を聞くこと」「主治医以外の医師に意見を聞くこと」「主治医以外の診断を受けること」などのように,表現を工夫したい。「第二診断」は簡潔な直訳表現で便利な言葉であるが,「第二」だけでは内容が伝わりにくい場合もあるので,別の医師による診断であることを言い添えるようにしたい。
  3. セカンドオピニオンという制度の存在を知らない人も多いので,機会のあるごとに,医療者側から,制度の存在を説明するようにしたい。例えば,手術のインフォームドコンセント(説明と同意)(→49)の際などに,主治医から,「もし,この説明を聞いて迷ったりしたときは,別の病院の先生に,本当にこの治療法でよいかどうか相談していただいても結構です。検査の資料などはすべてお貸しいたします」と,セカンドオピニオンの希望も受け入れる用意があることを話せば,より親切である。
こんな誤解がある
  1. 主治医がセカンドオピニオンを勧めると,自分の診断に自信がないからだと誤解する人がいる。一方,主治医の機嫌を損ねるのではないかと,セカンドオピニオンの希望を申し出るのをためらう人もいる。現在では,しっかりした理念を持っている病院や医師であるほど,セカンドオピニオンを患者に積極的に勧め,患者の希望には快く応じるのが当たり前であることを,伝えたい。
  2. セカンドオピニオンを受けた病院で,そのまま治療を受けられると誤解している人がいる。セカンドオピニオンは,あくまで相談であり,そこで治療を受けたい場合は,転院希望を出す必要があることや,その場合の手続きの仕方などについても,あらかじめ伝えておくのが,親切である。
  3. 自分にとって都合のいい診断と治療法にたどり着くまで,次々と医師を変えてよいと誤解している人がいる(10.8%)。それは「ドクターショッピング」であり,それが自分にとって最善の医療とは限らないこともある。
ここに注意

 セカンドオピニオンを希望したくても,どの病院の何という医師に相談してよいのか,分からない患者も多い。かかりつけ医は,患者から頼まれれば,自分の知る限りの中から,最適の病院や医師を選んで紹介する,セカンドオピニオンの取り次ぎもできるようにしたいものである。

患者・家族と医師の問答例
Q:
「セカンドオピニオン」とは,例えば,主治医から手術を勧められたけど,決心がつかず迷ったりしたときに,違う病院の先生の意見も聞いてみることですね。
A:
その通りです。
Q:
でも,これまで親身になってくれた先生に,よそでセカンドオピニオンを受けたいので,検査のフィルムを貸してくださいと頼むのは気がひけます。
A:
気持ちは分かりますが,気にしなくても大丈夫です。生涯に一度あるかないかの大きな手術を受けるわけですから,自分が納得できるまで吟味をしてください。
Q:
どの病院でも,簡単に資料を貸してくれるのでしょうか。
A:
はい。今では患者さんを大切にするしっかりした理念を持って診療している病院の医師であれば,気持ちよく応じてくれるはずです。遠慮せず病院の受付に申し込んでください。
Q:
セカンドオピニオンを受けた病院の先生が信頼できそうなので,そちらで手術を受けたいと思ったときは,どうすればよいでしょうか。
A:
そのときは前の病院の主治医に,病院を変えたいと希望を述べて紹介状を書いてもらうことになります。
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